2016年10月3日月曜日

説明しないガイドさんのホスピタリティー





「あ、でも、このお話は、今日はしないでおきます」


ガイドさんの一言に、

バスの運転手さんの口から、くすっと笑い声が漏れました。

長野県上田市にある長谷寺から周遊バスに乗ると、

真田家の家紋・六文銭が背中に入った陣羽織のような

衣装を身についた女性のガイドさんがマイクを握っていました。

周遊バスは、観光案内と地域の直売所である「ゆきむら夢工房」、

「真田氏歴史館」、「真田氏本城跡」、「長谷寺」、

「山家神社」、「黒門前駐車場」、

「ふれあい真田館前」、「真田中学校」を巡回しています。

観光の方は1日フリー乗車券で乗ると便利ですし、

私のように行き先が決まっている人は、1乗車100円で利用できます。

ガイドさんは、私の母より少し下の世代のようでしたが、

「おはようございます!」と、元気いっぱいの挨拶。

長谷寺から乗車したのは私一人だったのですが、

停留所から停留所までの間、どの寺社に何が収蔵されているか、

真田家にゆかりの人物がどのような運命を辿ったか、

窓から見える山や城跡について、次から次へと解説していきます。

とても丁寧に説明してくださるので、

私も耳を傾けながら、

「それは、初めて知りました!」

「へぇ、そうなんですね~」などと相槌を打っていきました。

その途中で飛び出したのが、冒頭の一言。

話そうとしていたことを辞めて、

「あ、この話は、今日はしないでおきます」というものです。

ガイドさんは、自分の頭の引き出しに入っている知識の中から、

私が興味を持ちそうな話題を選んでくださっていたようです。

ところが、「これを、話そう」と思いついたものが、

私が下車するまでに話しきれないものだったか、

もっと優先順位の高い話題が見つかったのか、

瞬時に、「今日は、話さないでおこう」と判断されました。

「私は、こういうことを説明するのが好きなので、

いろいろお話してしまうんですけど。

とても、たくさんお話することがあるので。

また、ぜひ、いらしてください。

今日、お話しなかったことは、次の機会に…」と、

ガイドさんは付け加えました。

運転手さんまで、くすっと笑ってしまう出来事だったのですが、

とても温かく、楽しい気持ちになりました。

ガイドさんは、上田・真田LOVE

上田・真田の名所旧跡や、真田家に縁の人物や、歴史が

とても好きなのだと思います。

ただし、自分の知識をひけらかす雰囲気ではなく、

乗客の反応を見ながら、

その上田・真田
LOVEをシェアしようとされている気がしました。

また、次の機会に、

あのガイドさんと出会えたら嬉しいです。



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